パリでのテロとシリアとFacebookのプロフィール写真トリコロール化に思ふこと

パリでのテロによるFacebookのプロフィール写真トリコロール化にいろいろな意見がでているようだ。

意見はあってもいいが、否定意見には辟易する。

「パリだけのために祈るのか」などという意見を見るたびに、心が狭いと感じるのは私だけではないだろう。

シリアのために祈れというのも勝手だが、じゃあ日本で現在のシリア情勢をきちんと知っている人はどれくらいいるのだろうか。
私だって現地を見て知っているわけではないが、ここに材料を挙げてみる。

・シリアがアサド大統領一派による独裁政権であると少なくとも欧米などが見ていた
・シリアがイスラエル、米国としょっちゅう紛争を起こしていた
・アラブの春の流れでシリアのアサド政権に対する反政府運動があった
・シリアにロシアが、反政府勢力に米国などが支援している
・ダーイシュ(ISIS、イラク・シリア・イスラム国)の台頭(これだけで一つのカテゴリができるので、今回は軽くです)
・都合によりアサド政権とISISの戦いとなったため欧米もしかたなしにアサド政権に期待している

そもそもシリアがどうして独裁政権となったのか理解していない人が多いと思うのだが、現政権はアラブ社会主義バアス党が他の社会主義・共産主義政党と連立を組んでいる。
そう聞くとどうしてロシアが歴史的にシリアを後援しているのかが理解できる。

では中東の対立はどうして起きているのかといえば、さまざまな理由がある中で、第二次世界大戦後にこの辺りを統治していた欧米が勝手に国境線を引いた挙句、イスラエルを建国したことにある。

中東戦争はイスラエルとイスラム教国家との戦いなのは明白であり、主に米国がイスラエルの後援となり行われたといっていいだろう。

それは主に権益によるものであるのは誰の目にも明らかなのであるが、日本のメディアはまず触れることはない。

米国がシリアを敵対視していたのは大きく二つの理由で、一つは国境を接しているイスラエルを守るため、もう一つは共産主義の独裁政権だからというのは材料の中から見えてくる。

そこを複雑にしてきたのはISISの台頭で、他のイスラム教宗派の多くが「イスラム国」というのを認めないと言っていても、ムスリムを語り紛争とテロリズムを繰り返していることが欧米だけではなく、中東各国の悩みの種でもある。

シリア(ロシアが支援) vs 反政府勢力(欧米が支援)であったはずのものが、シリア vs ダーイシュ(外ではイラク vs ダーイシュ)さらにはクルド人勢力とダーイシュなど、混沌とした争いが起きているのが現状。

ではこれらを踏まえ、私はFacebookのトリコロール化とシリアに思うことを自分はどう感じるかと言えば、パリで行われたのはダーイシュによる他国へのテロリズムであり、シリアで行われているのはシリアと反政府戦力そしてダーイシュの内戦に、欧米とロシアが絡んでいるわけであり、そもそも語るべき対象が異なっている。

シリアではパリの犠牲者が毎日だというが、それは内戦が行われているからであり、テロリズムによる被害者と一緒にすることはできない。

そして、トリコロール化に反対する人は「どれだけの覚悟があるか」などとユーザーに問うているが、シリアの状況を正確に知っている日本人は少なく、なんとなく内戦・・・もしかしたらそもそもシリア対ダーイシュしか知らない人もいるんじゃないかと考えられるし、アサド大統領が世襲政権の独裁国家であることを知らない人も多いのではないかと感じる。

シリアに祈れというのであれば、そのあたりを詳しく知らない人に知らせて(教えるなんて上から目線はもっての外)、だからシリアのために祈ってみてはいかがかと提案すればいいというのに、同じ土俵でものを考えさせようなどと思うから無茶な意見と聞こえてしまう。

そしてもう一つ思うのは、だったらシリアだけではなく、エチオピアのことを考えているか?世界の貧困についてどう考えているか?(日本国内の貧困とは圧倒的に質が違う)チベットは?東トルキスタン(新疆ウイグル)は?内モンゴルは?南アフリカのカオスは?などなど、それらすべてをその人は知って祈っているのか?ということ。

Facebookのプロフィール写真トリコロール化は、個人の自由でいいと思うし、それ以外のことを伝えたいのであれば否定するのではなくて、トリコロール化するくらいに優しい思いがあるのであれば、他のこのことも知って!と訴えればいい。
ところが上から目線の「シリアを・・・」などとやるから否定される。

それだけ優しい思いを他者に感じるのであれば、伝えたい人にも優しく寛容になれば???と思う次第。