企業はステークホルダーのためだけにあるのか?

そろそろ上場企業の決算が出そろってくるのだが、数年前まで下請けを泣かせていたり、ユーザーに多大なる迷惑をかけているというような企業が、過去最高の純利益などと報道され、経営陣がさも優秀と持ち上げられたりすることに違和感を感じる。

上場企業ともなれば一種公のものに近いのではないかと思うのであるが、ステークホルダーへの利益供与だけを持ち上げるべきではないと考える。

そこの従業員が安い給与であえいでいないか、派遣だらけですぐにでも経営悪化となれば切ることの状況ではないかなどもあるし、子会社に受注額の半分を渡して利益を先に確保する、ユーザーがすぐそばにあるのにユーザーサービスがなっていないとか、下請けはアップアップしていて次々にたたんでいくとか、そんな企業が過去最高利益を自慢して何になるのだろう。

それよりも従業員に対して給与アップを果たしたとか、下請けを海外からもう一度日本に戻したとか、ユーザーのために最大限の投資をしたとか、利益を自慢するよりももっと必要なことがあるのではないだろうかと思う。

数年前に地元に全く無意味な狭い土地に八階建てのマンションを建てようとしたのは日本を代表するといわれるハウスメーカーであったが、その周りの低い建物の下町的景観を重視していた人たちの幸福は考えず、ただただ自分の利益のため利益率の高いアパート(マンションなどという言葉はまやかしである)を建設し、ユーザーになるやもしれぬ人たちの反感を買うようなことをした。
例えばそんな企業が過去最高益を更新したからといってなんだというのだろう。

私は自由主義や市場経済を否定しようとは思わないが、自分たちの利益だけを考え、自慢だけをするような企業は認めるべきではないと考える。

ましてLBOで企業を買い上げ、そもそもLBOというものが世の中に理解されていないというのに、さも自己資金で買ったように見せかけ、その企業価値を落とすと本体そのものが危うくなるから過去最高益を出さざるを得ないというのに、そのからくりを民衆に知らしめることのないマスコミ、そしてその企業集団の会長をいつまでも崇め奉る人達を軽蔑する。
今度はIPOで騒がれているようだが、自己が投資した企業を利益のみで判断し、日本の市場を自己都合で潰した経営者をいつまでものさばらせておくようなことをしてしまっている。

もう一度企業というものを考え、利益は金だけではないと理解するべきだし、そこにいる人たちの幸福、ユーザーの利益こそが幸福だとしるべきである。
このままでは自己利益しか考えないハゲタカのみが跋扈するような寂しい世の中が
本当に来てしまう。