世の中働き方改革だ、男性の育休だのなんだのとやかましいくらいだ。
取りたい方は取ればいいと思うし、働き方改革というのであれば、本来は仕事の効率までを含まなければならないのに、とりあずえず仕事の時間となっているのが非常に残念だと思っている。
まあ、働き方改革でまた平均給与は下がるんだろうなあと思うわけで、そこに何の工夫があるのだろうと思ってしまう。
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私が育児に携わっていた頃、つまりは上の子が生まれた五か月後に会社を立ち上げた。
三年間フリーとして活動をしていたわけだが、当時派遣社員としてお世話になっていた会社の取締役から、会社を作って本格的にお付き合いいただけないかというお話をいただいたため、会社を設立することになった。
しかしながら、そのお世話になっていた会社の方向性が変わり、私とのお付き合いが終わるところから忙しい時間が始まりました。
派遣社員の延長の頃は定時に帰って、子供を風呂に入れ、寝かしつけ、奥さんができないことをやり・・・なんてことができていました。
ところが会社をやりはじめると、まずは時間が滅茶苦茶になり、ソフトウエアの内製化なんてのをやっていたものですから、子供との時間を取るために、フルフレックスで働いたのです。
朝は比較的ゆっくり起きて子供と食事をし、10時に仕事へ行き16時には一度家に戻り、子供をお風呂に入れ、ご飯を一緒にし・・・あ、昼の時間にも家に戻って子供と一緒に食事をしていましたね・・・寝かしつけてからまた仕事に行く、そんな毎日でした。
その時の会社がフルフレックスになったのは、実は私の子育ての都合からだったのですが、当時のスタッフにとってはそれが都合の良い者であったようで、かなり仕事がはかどったというのは副産物でした。
育休を取るという選択肢は、経営者にはありませんでした。
創業間もないころでしたし、弊社から業務委託でスタッフが外部に行っていましたので、その管理作業などもあったわけです。
そのため、自分が仕事を休むと社業に影響を及ぼすということがあったため、休むという選択肢がなかったのです。
もちろん長期の休暇は取りました。
最大で二週間程度でしたが、北海道に帰ったり、他のところに旅行に行ったりと、家族と一緒にいる時間を多くとるために、いろいろな工夫をしてスタッフにお願いをし、それで出かけていたわけです。
携帯電話の通話料も安くなってきたころでしたので、すぐに連絡が付く(やっかいなものですがね)とのことで、スタッフからOKがでたということもありました。
海外ローミングも使いました(苦笑)
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男性の育休については否定的ではありません。
ただし権利と大声でやる必要もないのかな?と感じるのは、ただ普通になればいいと思うからです。
子供との大切な数年間のうちのたかだか数か月を、仕事を休んで一緒にいるというのは一つ有意義なことでもあると思います。
長年PTAなどで役員として参画させていただいた経験から言えば、本当に子供と接しないまたは接し方をしらない父親が多いように感じます。
だからこそ子供を知るためにも、自分が子育てに参加するためにも、育休を有効に使うというのは大切な経験につながると思うのです。
まして、育休期間の給与は会社から出るわけではありませんから、会社に迷惑をかけるなどと思う必要はありません。
子供をしっかりと見ることのできる環境を作ることこそ、日本企業にはやるべきことだと考えます。
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そして働き方改革。
労働者の働く時間を結果として短くしたり、有休を取るようにしたりとやりやすくはなるでしょう。
しかし、はっきり書きますが間違いなく平均給与は落ちます。
最初にも書きましたが、生産性の議論がなされていないからです。
同一労働同一賃金も全く同じ理由で、生産性の議論がされていないから意味がない者になっているわけです。
そしてこれらに全く欠けているのは「上昇指向で働きたい人、稼ぎたい人の意見が無視されている」ということです。
また、大企業以外には全く意味のない制度だということでもあります。
さらに言えば大企業でもマネージャー職には影響が少ないわけで、マネージャーは時間が過ぎれば自動的に「休め」と言われるわけですが、結果として自宅でメールでの対処なんてのをずっと続けざるを得ないわけです。
私が問題視しているのはまさにそこなのですが「そもそも一人月を越える予定で線を引く」からこそ問題になるのです。
一人月とは何かを会社として定義し、それが適切であるのかは内部、外部で行いながら、そこで単価や給与を定めていくだけです。
ところが特にコンサルティング会社や上場企業のマネージャー職、管理職などはその一人月に全く収まりそうもない仕事量になっているのです。
だからこそそれらの給与はやたら高く見えるのかもしれませんが、命を削って稼いでいるわけで、時給換算すると大して高くはないというのが身をもってわかっていたりします。
まあ、幸いなことにフリーで生きていると、企業から見たコスト以上の働きをすればいいので、無茶な働き方をする必要はありませんし、フリーの場合は身一つですので、倒れるわけにはいきませんから必然的に仕事量はセーブするわけです。
ここで一つ重要なのは「生産性」というところに尽きます。
フリーの人材は生産性が高くなければ採用する企業にとっては全くメリットがないものになります。
まして私のやっているコンサルティングなるものは100%の付加価値なのですから、企業側がメリットを感じなければ即座に終了となるわけです。
ですが、本当の意味での自分の立ち位置が時間やお金ではっきりしますし、評価されなければ淘汰されるというのもフリーランスという生き方だと思っていますので、私はそれがあっているのだと思います。
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働き方改革は見た目だけ合わせてくるのだと理解しています。
その裏で忙しい派遣社員が出てきたり、給与が低くなったうえで複数人を担当させるなどん姑息な手段で企業は対処するでしょう。
しかしそれは全く意味をなさない数字であって、本来は生産性の議論と、社員教育に尽きるのだと感じています。
楽しい職場というのは理想かもしれませんが、やってやれないことはありません。
楽しい職場が生産性につながるのでしたら、試す価値はあると感じます。
事実として私は過去に自分の会社であったり、サラリーマン時代の会社で実現してきました。