クローズの難しさ

アイドルグループである「嵐」の2020年大晦日での活動休止は、私のようなものにとっても驚きを感じられるものでした。

日頃特にアイドルに興味がないものの、役者として活躍している二宮くん、松本くん、キャスターとして活躍している櫻井くんなどなど、目にする機会が多い(松本くんに至っては娘たちが大ファンですし)ため、その動向を知ることは多いわけです。

その彼らが二年間の猶予をもって活動休止を宣言したのは、同じくアイドルグループであった「SMAP」とは対照的だと感じました。

SMAPは結果として最終的に空中分解のまま、ファンを置き去りにしてなくなってしまった感じがするわけで、SMAPの中の人達のエゴが結局そうさせてしまいました。

特に私はSMAPという存在が好きでしたので(大ファンというわけではありませんが)、それをたいへん残念に思っています。

しかし、嵐は活動休止前に二年間ファンへのお別れを(一次的なのかは不明ですが)することができるわけです。

それぞれに思うことはあったでしょうが、ピンでもやっていくことのできる5人ですから、こうした結論を出したのだと理解していますし、商売として嵐というグループでの活動をすることが彼らにとって今までは有用なことであったわけですが、もうおじさんになろうとしている彼らに、それぞれエゴが芽生えても仕方がないことだと思います。

そうしたソフトランディングにならなかたのがSMAPであり、嵐とは対極的に感じるわけです。

仕事でもそうなのですが、どうやってソフトランディングさせるのかというのが重要になります。

会社を変わる時、会社をたたむ時、引退をするので引き継ぐ時などさまざまなシーンでどういうランディングをするのかというのが、その人の仕事の評価になることもあります。

終わらせ方がうまい人は比較的評価が高くなるわけですが、それは「いやな思いを周りにさせないようにする」という努力をしたことにつながるのだと感じます。

いきなり終わりが来た時に、どう終わらせることができたのかというので、下手をするとその人のその後の評価が定着してしまいかねません。

私も先日、1996年来お付き合いのあった会社が、別の会社の子会社になるということで、それまでシステム的にサポートしていたものを、終了することができました。

ソフトランディングをするために、どのタイミングでとはかっていたわけですが、私個人は2020年を目途にサポートの領域を徐々に減らしていき、ソフトウエアを含めた環境を一般的なものに置き換えて、どこの会社であろうとサポートが可能な形で引継ぎをしようと考えていました。

しかしながら、先方の会社が今後の会社の在り方を考えた時に、単独では生き残ることができないということで、会社を買ってくれるところに売ったのです。

そのため、今後大規模改修が必要なシステム等については、親会社が担当することとなったため、私は必然的に離れるという形になりましたが、残っていたハードウエアのサポートを先日終わらすことができ、23年のお付き合いを終了することとなったのです。

その際、先方の会社の方々からいろいろあったけれどお疲れ様という言葉をいただいた時に、ああやっとソフトランディングができたのだなとほっとしました。

今後も個人的には担当の方と話をする機会もあると思いますが、一旦は会社対会社(私は5年前に会社ではなくなっていますが)の関係をなんとか終わらせることができました。

今回の「嵐」の終わらせ方というのも、ソフトランディングとしてはよいものだと感じることができたのは、その過程を明確にしたことだと感じます。

本当かどうか真偽は不明かもしれませんが、二年前の6月にリーダーからの申し出があり、昨年の6月に2020年末までの活動と決めたという非常に難しい決断だと感じさせるものがありました。

当然彼らにとっては基盤が「嵐」であったわけですから、それがなくなるのは苦悩があったと思います。

しかし、自分たちで選んだソフトランディングは2年間のお別れ期間を設けたことで、いきなり断ち切られたという感覚はなく、ファンに惜しまれながら嵐というグループの幕引きをすることができるように感じるのです。

もちろんこの方向が今後彼らの活動に良いものとなることを信じているわけですが、SMAPのような仲違いという形で終わらなかったことを評価したいと思います。